レンブラントの世紀―17世紀ネーデルラント文化の概観(歴史学叢書)
- ヨハン・ホイジンガ (著), 栗原 福也 (翻訳)
- 単行本: 178ページ
- 出版社: 創文社 (1968)
- 発売日: 1968
- 定価: 350円
読書メモ
『中世の秋』で有名なホイジンガが、戦時に書いた自国史(原書発行1941年)。
『中世の秋』をはじめとしたホイジンガの著作は現在も複数の訳者によるものが版を重ねていますが、17世紀を扱ったこの本は、これ以降新訳も新版も出ていないのが残念。原書は1933年のドイツ語版を、著者本人が1941年にオランダ語でほぼ倍の分量に大幅改訂しているとのこと。さらに、現在のベルギーにあたる地域(南ネーデルランド)を含んでいない内容でもあり、この辺もなかなか紹介されない一因なのかもしれません。いまのところ入手は古書を探すしかないようです。
内容はちょうど同時代に邦訳の出た『オランダ共和国』とも似たような構成になっています(原書の時期が違うので偶然だと思いますが)。ホイジンガ本人が「あまりにも周知のことがらは削り」(p.1)と書いているように、自国史を学んできているオランダ人のために書かれているため、中学校で学ぶ日本史程度のオランダ史の知識は必要です。が、全体的にわかりやすい文章で書かれていて、興味関心に応じてどこからでも読むことができます。目次が詳細なのもそのような読みかたに役立ちます。逆に目次が細かすぎて、各章立ての概要がわかりにくいので、下記に簡単に記しておきます(管理人の私見です)。
- 政治経済
- 社会
- 宗教
- 文化
- 芸術
- 衰退
なお参考まで、『中世の秋』はコチラ。