図説 オランダの歴史
- 著者: 佐藤 弘幸
- 出版社: 河出書房新社/ふくろうの本
- サイズ: 単行本
- ページ数: 143p
- 発行年月: 2019年5月(改訂新版)/2012年4月(旧版)
目次
- 水と戦い、水と共存する国民
- デルタ地帯に広がる低湿地
- 泥炭地の開墾
- 堤防の建設
- テルプに住む人々
- 風車による干拓
- 古代ローマからフランク王国へ
- ローマ時代と民族大移動期
- フランク王国の成立
- フリース人の活躍
- ノルマン人の侵攻
- 中世のオランダ
- 中世オランダの政治勢力
- ホラント伯家の擡頭
- エノー伯家とバイエルン侯家
- ヘルレ伯領
- 自由農の国フリースラント
- ブルゴーニュ家からハプスブルク家へ
- "新しい信心"運動とエラスムス
- 八十年戦争からオランダ共和国の誕生へ
- 八十年戦争への道
- 八十年戦争の始まり
- ユトレヒト同盟の成立
- 十二年間休戦
- 戦争の再開
- 連邦共和国の仕組み
- 黄金時代のオランダ
- ヨーハン・デ・ウィットの時代
- イギリスとの確執
- 英仏との戦争
- 名誉革命の輸出
- 黄金時代の経済と文化
- 造船業の発展
- 織物工業の広まり
- 黄金時代のかげり
- 東インド会社の誕生
- 西インド会社
- 黄金時代のオランダの文化
- オランダと日本の貿易
- 日本にもたらされたオランダの文化
- 衰退の十八世紀からネーデルラント王国の成立へ
- 第二次無総督時代
- オランイェ家の新たな復活
- バターフ共和国の成立
- ホラント王国からフランスへの併合
- 十九世紀以降の近代国家への歩み
- 商人=国王ウィレム一世
- ベルギーの分離独立
- 自由主義の時代
- 植民地経営
- 政党政治の始まり
- 柱状化社会の出現
- 世界大戦前のオランダ
- 二十世紀のオランダ
- 第一次世界大戦後の動き
- 第二次世界大戦
- 日本への宣戦布告と植民地支配の終焉
- インドネシア独立戦争
- 戦後復興とデルタ計画
- 柱状化社会の溶解
- 新たな社会への模索
読書メモ
単独の「オランダ史」概説としては、クセジュの『オランダ史』に続いて2冊め! まさか図説シリーズでやってくれるとは思ってませんでした。河出書房GJ!
図説シリーズならではのカラー図版の多さはいうまでもないですが、かなりめずらしいものも扱ってあります。p.42-43にかけて、「ヘントの和平」現物の写真や、この時期の重要文書の表紙が沢山載っています。
しかしなぜ2012年刊なのか? 第一章の内容からして、ベームステル干拓地(世界遺産)400周年記念だから? …というのは少数派の見方でしょうか。おそらく、近年のフェルメールブームで、オランダ17世紀の文化が多少は日本人の人口にも膾炙してきたからかと思われます。 いずれにしても、一国史でオランダが出てくれたことは、オランダに興味をもってもらう糸口としてもとても重要なことです。(どこかにも書きましたが、『スイス・ベネルクス史』だとオランダは「ネ」だけなので、オランダとすら気づいてもらえない可能性もありますから)。裾野が広がるのを期待します。
新版について追記
2019年に改訂新版が発売。目次とページ数は同じです。違う箇所はあとがきにもあるとおり、最終ページの国王の代替わりに伴う表記や、2012年以降の出来事についての加筆です。表紙も少し変わりましたね。日本の代替わりに合わせた出版でしょうか。
この「図説」以降、オランダ史の本もいくつか出ています。が、やはりいちばん最初に読むべき基本の書として挙げたいのはこの一冊。要所を確実に押さえつつ私情をはさまないプレーンな書き口が心地よく、かといって教科書的に堅苦しくもありません。もっとも、「文学」を求める人には若干ドライに映るかもしれませんが。
こちらは旧版。