スイス・ベネルクス史

  • 著者: 森田 安一 (編集)
  • 出版社: 山川出版社(千代田区)
  • サイズ: 全集・双書
  • ページ数: 439p
  • 発行年月: 1998年04月
  • 定価: 3675円

読書メモ

オランダの歴史を勉強したい人には、真っ先にお勧めする本です。同じ概説書でも、時代別に区切った概説書よりも、各国史をまずは基本とすべきです。 というのも時代別の概説では、オランダ史はだいたい他国が専門である研究者にやっつけで書かれてしまいます。が、各国史タイプの概説書は、基本的にその国の言語に精通し、その国で書かれた資料を使える専門家が書きます。著者のモチベーションからして違うわけです。

もちろん、地名・人名のカナ表記や専門用語の訳語の信頼性も最も高く、「ゼー・ゴイセン」なんてどこの国でも通じないようなトンデモ用語はありません。

第二部 佐藤弘幸「オランダ」 目次詳細

  1. オランダ共和国の成立とその黄金時代
    • 八十年戦争
    • 英・仏の挑戦を受けるオランダ
    • 十七世紀黄金時代の国家・経済・文化
  2. オランダの海外進出と共和国の凋落
    • アジアへの進出
    • アメリカ・アフリカへの進出
    • 十八世紀のオランダの凋落
  3. 近代国家への歩み
    • オランダ王国の成立
    • 多極共存型の社会をめざして
    • 二十世紀のオランダ

第三部 河原温「ベルギー・ルクセンブルク」 目次詳細(二章まで)

  1. スペイン=ハプスブルク家の支配
    • スペイン王の支配と決定的分離の時代
    • 災厄の世紀
    • 近世低地地方南部の経済と文化
  2. オーストリア=ハプスブルク家の支配と独立への道
    • 啓蒙主義的改革
    • ブラーバント革命とフランスへの併合
    • ウィーン体制とオランダへの併合
    • ベルギー独立革命

ところで、オランダ史が振るわない理由に、この類の本のネーミングもあるような気がします。前のバージョンは『中欧史』でしたし、この本の場合は『ベネルクス史』で、オランダは「ネ」の部分だけですから、いちばんの基本文献に「オランダ」の文字が入っていないということになります。

参考: 「新版」とありますが1972年版のこちらが旧販です。ただ、いつになっても基本を確認するために、常に傍らに置いておきたい本のひとつでもあります。


~Further Reading~

ベネルクス現代史

  • 栗原 福也 (著)
  • 単行本: 355ページ
  • 出版社: 山川出版社 (1982/01)
  • 発売日: 1982/01
  • 定価: 2040円

読書メモ

山川からもう一冊。タイトルは現代史ですが、それ以前の前史にもそれなりにページが割いてあります。昔の本ですが、まだ普通に入手できるようです。