戦略戦術兵器事典<3>ヨーロッパ近代編

3ヨーロッパ近代編

  • 出版社: 学習研究社
  • サイズ: ムックその他
  • ページ数: 218p
  • 発行年月: 1995年01月
  • 定価: 1800円

読書メモ

見た目ムック本と侮ることなかれ。百聞は一見にしかずを地で行く本たちです。とにかく見事にカラーの図版や絵で表現されています。稜堡式要塞の細かな部位や、陣形のかたちや運用方法も、図や絵で描いてあるので非常にわかりやすい。マウリッツ型隊形とグスタフ型隊形がどう違うか、オランダ式稜堡とフランス式稜堡がどう違うか、というのは図版でないとなかなか理解できないと思います。

個別の戦闘の詳細が載っており、オランダでは「ニーウポールトの戦い」が取り上げられています。説明文の細かいところはツッコミどころ満載の記述ですが、日本語でなおかつ図まであるのは貴重です。ほかには、映画『アラトリステ』にも出てくる「ロクロワの戦い」、三十年戦争では、グスタフ二世アドルフの「ブライテンフェルトの戦い」「リュッツェンの戦い」のオーダーもあります。

と、図版だけ見ていてもとても有用なのですが、とくに「3 ヨーロッパ近代編」内の「History of Modern Armies」「The origin of Modern Army」の各章は、「ナッサウ伯の軍制改革」を初めて日本語で紹介し、この巻の監修者でもある今村先生が直接手がけている部分。広範かつ詳細な内容で、新書並のさらりとした内容を期待して読むと、かなり良い意味で期待を裏切られます。既に絶版ではありますが、この時代の軍事史を勉強するには必携といえるでしょう。


~Further Reading~

5ヨーロッパ城郭編

  • 出版社: 学習研究社
  • サイズ: ムックその他
  • ページ数: 195p
  • 発行年月: 1997年06月
  • 定価: 1900円

読書メモ

カーテンウォールのお城の本ではなく、要塞、つまりは攻城の本。中世の城から近代までのタイムスパンをカバーしているので、稜堡式要塞についてはそれほどページが割かれているわけではありませんが、同種の書籍があまりない中貴重な一冊になっています。